史上初! 福島第1 原子力発電所1 号機原子炉建屋内調査について(その1)

東日本大震災、そして原発事故が発生した時、私は衆議院に新設された「科学技術・イノベーション推進特別委員会」(以下「委員会」と略す)の初代委員長でした。
私は、今後数百年数千年数万年にも及ぶであろう原発事故の被害を見るにつけ、「なぜこのような事故が発生したのか」について、国会としても徹底的に検証を加え、「推進」あるいは「脱原発」という、ある種のイデオロギー論争を乗り越え、冷静かつ客観的・科学的に議論をする必要があると考えました。そこで、「委員会」で議論する前段階として仲間の議員30名余りで「東日本大震災を考える会」という勉強会を組織し、田中三彦先生・後藤政志先生をはじめとして、専門家を招き、事故原因の解明を始めました。
福島原発1 号機については、事故直後から非常用復水器の作動状況と、事故原因についての関わりが指摘されていました。実際に、事故の直後に私が視察に行った茨城県東海村の「日本原子力研究開発機構」でも、原子炉研究の専門家が「なぜ、非常用復水器の作動を止めたのかが最大の謎である」と、教えてくれました。

資料①

私は、田中三彦先生・後藤政志先生らと共に原子力安全保安院、東京電力と議論を重ね、なぜ非常用復水器を停止させたのかを詰めてゆきました。
資料①では、手順書通りに操作したのだ、と東京電力は説明しています。
そこで、私達は「では、その手順書を見せて欲しい」と要求しました。東京電力は拒否しました。ならば、委員会で正式に要請する、ということにして、私は委員長として委員会を開会し、資料②の発言をし、手順書の提出は、国政調査権に基く正式なものとなりました。

資料②

それでも東京電力は、手順書の提出に素直に応じず、出てきた手順書は資料③のようにバーコードのように黒塗りされたものだったのです。

資料③

資料③-2

この東京電力の対応は、委員会全体あるいは国会全体の怒りに火を付け、事故原因を究明するにあたっては、「国会としても事故調査委員会を設置すべきである」との方向性を大きく後押しすることとなります。
また、この「黒塗り手順書」は世界的な科学雑誌である「nature」の表紙にもなり(資料④)、世界的な批難を浴びることとなりました。

資料④

これらの経緯を経て、東京電力は黒塗りを外さざるを得なくなり、手順書の提出に至ります。
そして、重大なことが判明するのです。
手順書と実際の操作を比較して検討すると、操作は手順書通りではなかったのです。政府もそこは認めざるを得ず答弁書①の提出に至ります。

答弁書①

答弁書①-2

では、「なぜ操作が手順書通りではなかったのか」ということになります。
地震直後に自動起動した非常用復水器。そのまま動かし続けていれば炉心を冷却し続けていた筈です。しかし、政府事故調の報告書等にもある通り、「原子炉圧力の降下が想定よりも早かった」為に、運転員が非常用復水器回りの配管損傷を疑ったのではないか?だから、停止操作をせざるを得なかったのではないか?という仮説に至りました。
では、配管損傷があった場合、それはどのくらいのものであったのか?
私は、政府に対してシミュレーションを要請しました。実際には、原子力安全基盤機構(JNES)という政府機関が、実際の原子炉圧力・温度と配管損傷があった場合のそれとの関係について計算しました。
結果として出てきたものが答弁書②です。この答弁書の中では、難しい言葉がたくさん書いてありますが、結論として言えるのは「配管損傷の可能性は排除できない」ということを政府として認めていることです。答弁書②の最後の部分で「現場確認等を通じて検証することが必要」と、「なぜ水素爆発が起きたのか」という事故原因が確定していないことを、政府として認めている部分が最重要部分です。

答弁書②

答弁書②-2

この答弁書②は、事故直後から私が毎週のように、東電・政府とやり取りをしながら、平成24 年2 月9 日に私の議員会館の部屋で受領したものです。事故から約1 年が経過をしていました。この答弁書②の基になったJNESのシミュレーションは、国会事故調にも採用され同報告書でも「配管損傷の可能性を排除できない」と結論されています。因みに、私はこの答弁書②をマスコミに対しても公表しましたが、大きな記事になったのは東京新聞だけでした。(資料⑤)

資料⑤

私は、その後も「地震から津波までの間に、何が起きていたのか、いなかったのか?」について、政府・東電と議論を重ねました。
そして、答弁書②にもある通り、「私、川内も」現場確認する必要がある、ということに政府・東電、そして川内の間で合意しました。
その合意に至る過程、平成24 年2 月9 日の答弁書②の受領から、平成24 年の秋口の合意に至るまでのことについては、次回の活動記録で詳細を報告します。
本来ならば、その現場確認は平成24 年12 月に実行される予定だったのです。しかし、その前月衆議院が解散し、現場確認は選挙後に延期されました。
年末に行われた総選挙は、私が所属する民主党に対して国民から厳しい審判が下されました。私も惨敗しました。年が明けて以降、選挙後の整理に時間がかかり、現場確認は、3月ということに日程調整されました。
原子炉建屋に入域するのは、事故後は、民間人では私が初めてであり、東京電力も受け入れにあたっては、神経を使ったと思います。
私は、東電からの要請により放射線業務従事者の資格を取得し、放射線管理手帳をもらいました。被曝線量を記録する為です。
そして、平成25 年3 月13 日、いよいよその日がやって来ました。今まで、原発事故に伴うマスコミの映像は毎日と言っていいくらいテレビのニュースで流されているので、国民の大部分は原子炉建屋の内部映像も「見たことがある」と思い込んでいるかもしれません。しかし、そうでは無いのです。
原子炉建屋の内部映像は、今まで全くと言っていいほど公表されていません。そもそも、原子炉建屋の内部は放射線量が高く非常に危険が伴います。また、現場の状況は、事故原因とも密接に関係する為、現場検証をせずして、東電だけで現場に入り改変することも許されないからです。
そもそも、多くの国民は、「津波が今回の福島第1 原子力発電所の事故の原因である」と思い込まされています。しかし、「地震での配管損傷の可能性」を含めて、事故原因の解明は、まだ全くなされていないのです。政府事故調の報告書は、事故原因を推定しているにしか過ぎません。だからこそ、政府自身も答弁書②の末尾で述べている通り、「現場確認等を通じて検証することが必要」としています。そして、実際に、私が与党プロジェクトチーム事務局長として設置法をチェックし発足した「原子力規制委員会」では、今年の5月1日に事故原因の解明の為の議論をスタートさせたばかりなのです。
では、「事故原因を解明する」とは、一体如何なる意味なのか?「地震」にしろ「津波」にしろ、それは事故の「きっかけ」にしか過ぎません。
「どこが、どのように壊れて、どういうメカニズムで水素が発生し、その水素がどこに滞留し、何が着火源となって爆発に至ったのか」ということが明らかにされて初めて「事故原因が解明された」ということになるのです。
因みに、津波での全電源喪失だけが原因の場合、水素は、原子炉建屋の最上階である5階に滞留することとなりますが、着火源はありません。実際に、津波説をとる政府事故調報告書には、「何らかの理由で」と記載され、東電に尋ねても「分かりません」との解答になります。
「地震での配管損傷なのか」「津波での全電源喪失なのか」事故原因を解明するうえで、「現場確認」「現場検証」はだからこそ必要不可欠なのです。航空機事故でも鉄道事故でも専門家による詳細な現場検証は必要不可欠。なぜなら、事故現場こそ原因解明に向けた証拠の宝庫だからです。
そして、事故原因の解明があって始めて、「真の新しい安全規準」も策定できる筈なのです。にもかかわらず、安倍総理は「安全性が向上した」と発言し、「政府一丸となって再稼働を推進する」と答弁しています。あたかも、原子力安全神話を復活させようとしているが如しです。
とにもかくにも、私は3 月13 日東京電力福島第1 原子力発電所1 号原子炉建屋に入域しました。
事前の打ち合わせでは、撮影は東京電力側にまかせてくれ、とのことでした。「現場は、ガレキが散乱していて足元が不安定である」「線量が高く、転んだりして防護服が破れたりしたら、大変なことになる」等の理由でした。「その代わり、川内さんの指示通りに撮影するから」ということでした。
因みに、言うまでもないことですが、事故原因と事故現場の状況は密接に関係しています。5 階建の原子炉建屋の何階で爆発が起きたのか?非常用復水器のある4 階なのか、それとも先述した最上階の5 階なのか。4 階で水素爆発が発生していたとすれば、その原因は非常用復水器回りの配管損傷しか、その可能性はありません。
そして、3月13日、私は4 階での水素爆発の可能性を示唆する1 号原子炉建屋内部の状況を、自分の目で確認し、東電の撮影を担当していた方にも、その部分の撮影を指示しました。
しかし、3月14日翌日の昼、東京電力から電話が来ました。
「誠に、申し訳ないが、ビデオが真っ黒でした」と、俄には、信じがたい電話でした。
私は、自分自身に「冷静になれ」と言い聞かせながら、東京電力と直接打合せすることを求めました。
「真っ黒ビデオ」を間にはさみ、私は東京電力と向き合い、こう言いました。

私「この際、なぜ真っ黒だったのかを議論し、責めても詮無きことです。これは、東京電力さんのミスですね」

東京電力「完全なる当方のミスです」

私「本来なら、撮れている筈の映像が無い。本当は、ここに映像がある筈ですよね」

東京電力「おっしゃる通りです」

私「では、本来ある筈の映像を撮りに、もう一度、原子炉建屋に入ります」

東京電力「えっ⁉」

私「ただし、重い重い防護服、そして全面マスクを装着しての原子炉建屋内での活動は、暑くなってからでは無理です。3月中に、再度入域させていただきたい」

東京電力「約束します」

私「いつですか?3 月何日ですか?」

東京電力「3月中ということは、約束します。具体的な日にちについては、調整し連絡します」

以上が、真っ黒ビデオ後のやり取りです。そして、東京電力は約束を守りました。3月28日に、再度1 号原子炉建屋に入域することになりました。
今度は、自分で高性能のビデオを購入し、自分でビデオを回すことにしました。そして、撮ってきたのがこの映像です。(ダイジェスト版にしてあります)

http://www.youtube.com/watch?v=xMO3Wb9inFg

5階建の1号原子炉建屋は、4階から5階に上る階段が爆発で壊れている為、事故以降4階までしか上がることができません。問題の非常用復水器が設置されている4階の状況が、下の写真です。

原発写真

次回以降、事故後初めて撮影されたといっても過言では無い、福島1 号原子炉建屋内部の映像から、「4階での水素爆発の可能性」、即ち「地震による非常用復水器回りの配管損傷の可能性」について、いくつかの決定的な映像と、東京電力の原子力設備の担当部長の証言を紹介しながら解説してゆきます。
私が、「事故後初めての映像」と言っている意味は、実は、この部長の音声にあります。
言うまでもなく映像とは、「動画と音声」により構成されています。そして、私の撮影した映像は、東電部長が私の質問に対して答えているという「音声」が重要なのです。
東電が、以前に撮影した映像には、津波原因説を前提とした「音声」は録音されていますが、配管損傷を疑うことに関する画も音声もありません。
そういう意味で、世界でただ1本しか無い、しかし皆が見なければならない映像なのです。

以下次号に続く

今週のキーワード 【汚染水問題】

福島第1原子力発電所からの汚染水問題が重大かつ深刻な事態になっている。しかし、これは事故当初より容易に予想されたことであり、私達はかねてより水での冷却は、かえって問題を深刻化させるだけである、と主張してきた。
当該発電所は、もう既に1kwの発電も出来ず、爆発によって破壊され尽した放射能まみれの壊れた金属の固まりにしか過ぎない。しかし、マスコミを含めて未だに「東京電力福島第1原子力発電所」と呼称し、法的にも「原子力発電所」として扱われ、「原子力村」の人々が管理している。そこに、この汚染水問題の本質が隠されている。
即ち、「原子力村」の人々にとっては「原発」を冷却させるのに「水を使う」ことが常識であり、それ以外の方法を考えることは無い。「既に原発では無くなっている」のに「原発として冷却しようとしている」のだ。
ここが今週の カワウォッチ!「水」を「冷却材」として使用する限り、毎日大量の高濃度に汚染された「汚染水タンク」を増設し続けなければならない。 金属工学、材料工学の見地から、原子力村以外の専門家が冷却へのアプローチをしなければ、この問題の解決にはならない。
私は、「錫」を使って、「錫棺」にすることを提案したい。

「質実国家・日本」の創造

私の政治家としての原点は、「さきがけ・日本新党」にある。「さきがけ五綱領」と言われる五つの理念は、私が常に自分自身に言い聞かせ、政策発想の軸足としてきたところである。

一、 私たちは日本国憲法を尊重する。憲法がわが国の平和と繁栄に寄与してきたことを高く評価するとともに、時代に応じた見直しの努力も続け、憲法の理念の積極的な展開を図る。

二、 私たちは、再び侵略戦争を繰り返さない固い決意を確認し、政治的軍事的大国主義を目指すことなく、世界平和と繁栄に積極的に貢献する。

三、 地球環境は深刻な危機に直面している。私たちは美しい日本列島、美しい地球を将来世代に継承するため、内外政策の展開に当たっては、より積極的な役割を果たす。

四、 私たちはわが国の文化と伝統の拠り所である皇室を尊重するとともに、いかなる全体主義の進出も許さず、政治の抜本的改革を実現して健全な議会政治の確立を目指す。

五、 私たちは、新しい時代に臨んで、自立と責任を時代精神に据え、社会的公正が貫かれた質の高い実(じつ)のある国家、『質実国家』を目指す。

今、読み返してみても、東日本大震災、原発事故という多く人々が被害を受け苦しんでいる今こそ、この理念を実現する時が来ていると感ずる。「肥大化する官僚機構」「原発政策」「新自由主義経済政策の中で拡大する格差」「歴史認識や領土問題を巡り軋轢を生む周辺国との関係」「在日米軍問題」等内外に問題は山積している。

そんな中で、復古主義的に「日本を取り戻す」という自民党安倍政権が政府を構成している。自民党の憲法改正草案を読んでも「大日本帝国」に戻ろうとするが如き自民党政治には、今日的あるいは将来的日本の課題を解決することは不可能である。
私は、来るべきときに備え上記の「五つの理念」に基き、具体の政策を今後このページにおいて順次発表してゆく。

理念・主張-1

理念・主張-2